前回のコラムで「日本の若者の自己肯定感」について
書きましたが今日はその続き。
(前回はこちら)
https://ameblo.jp/huchimura0718/entry-12658474147.html
今日は、「若者の自己肯定感が低い要因」について
僕の仮説を書いてみたいと思います。
要因①学校教育において競争をしていない
私が小学生や中学生の頃は良くも悪くも競争が明確にあった時代でした。
「通信簿は5段階」
「テストの順位は上から下まで実名公表」
「運動会では必ず順位がつく」
これが当たり前の時代でした。
成績に一喜一憂したものですが、
その一方、
勉強は苦手だけど運動会のリレーではいつもアンカーを
務めるスポーツ万能少年
絵を描かせたらびっくりするほど上手な子
などなど、多くの人に出番がありました。
つまり、客観的にみて、他より劣っている部分も露呈しやすいものの、
秀でている部分も明らかになりやすかったように思います。
しかも、暗黙の了解のうちにそんな人に対する尊敬の念もあったように思います。
(「あいつやっぱすげ~」みたいな感じ)
これって、ある意味、自己肯定感に繋がる話だと思います。
最近は、「運動会での手つなぎゴール」という言葉もあるように
「みんな一緒」といった風潮が以前に比べて強く、自分の強みや弱みが
認識しにくい環境であると私は考えています。
■要因②SNSの影響
今の若手は、学生時代からSNSが身近にありました。
「LINEいじめ」
「既読スルー」
という言葉もある通り、SNS上で心無い言葉を浴びせられたり、
無視されてしまったり、ネットによる誹謗中傷は昔も今も深刻な
社会問題になっています。
「リアルないじめ」ももちろんよくありませんが、
比較してみると、学校や塾などでのいじめは家に帰れば収まります。
言い換えれば、逃げ場が用意されている。
ところが、ネットによるいじめや誹謗中傷は
24時間365日、場所を選ばず続きます。
その心理的負担は計り知れません。
「他の人を違うことを言ったら周囲から嫌われてしまうのではないか」
という精神的な不安や実際に、ネットでの誹謗中傷を受けた経験による
心の傷はすぐに癒されるものではありません。
「出る杭になるのはやめよう」
「思ったことを口にするのはこわい」
という意識が、自己肯定感の低下にも
繋がっているのではないかと私は考えます。
■要因③我々大人がイキイキしていない
最後はやや精神論になってしまいますが、
我々大人の影響も大きいのではないかと思います。
子どもや若者だけが自己肯定感が低いのではなく、
親や大人も同様に低い
これが私の仮説。
今の20代が子供の頃は
バブル崩壊後、すなわち失われた20年とちょうどかぶっています。
日本全体に元気がなく、やや混とんとしてた時代。
職場でも、家庭でも、明るい未来を展望したり、みんなで一致団結して進んでいこう、
という風潮が以前に比べると弱かったのではないでしょうか。
私自身は、この世代の上の就職氷河期世代になりますが、
小さいころから大人になることに漠然とした不安を抱えていました。
しかし、両親(特に母親)はいつも明るくニコニコしていたので、
大人になるって悪いことではないな~、と感じることもありました。
言語、そして非言語を含めた親子のコミュニケーションが子供の自己肯定感に
繋がるというのはコーチングの世界などでよく言われています。
だとすれば、若者の自己肯定感が低いと嘆くよりも
まずは我々大人がイキイキ楽しんでいる姿を見せる。
これが『出発点』なのではないかと思います。
当然ひとりができることは少なく、僕も日頃、研修講師としてできることも
限られているのは重々承知しています。
その上で、やはり「自分自身が楽しく働いている姿」を受講生に見てもらう、
その姿をもって彼らに「これから自分たちが生きるフィールドであるビジネスという
世界はどうやら悪くなさそうだ」
そんなことを思ってもらえたら嬉しいですし、
これからもそのような意識で研修を行っていきます。
4月の新年度まで約1か月。
今年も多くの新社会人の方々と仕事の場で出会い、お互い成長できるのが今から楽しみです。